2022-12-20
不動産売却をする売主は、契約不適合責任によるトラブルに注意しなければなりません。
契約不適合責任を軽視していると、想像以上の損害が発生してしまうおそれがあります。
そこで本記事では売主が知っておくべき契約不適合責任とは何か、買主の権利やインスペクションの必要性まで解説します。
埼玉県川越市・富士見市・ふじみ野市を中心に、東武東上線・JR川越線沿線で不動産売却をお考えの方はぜひご参考にしてください。
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契約不適合責任とは、民法によって定められたルールです。
ここからは契約不適合責任とは何か、概要について解説します。
民法で定められている契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容に適合していないときに売主が問われる責任です。
具体的には不動産の種類や品質、数量が適合していない状態を指しています。
品質面で不適合になる例を挙げると、売却する不動産に雨漏りがあるのに、契約書には記載がない場合などです。
雨漏りのほかにも、シロアリによる腐食や建物の傾きなどさまざまな不具合が該当します。
「契約書に書かれているか否か」というシンプルな論点なので、適合と不適合の判別が容易です。
ただし売主は不適合とならないよう、些細な内容まで契約書に記載することが求められます。
引き渡し時点で売主が知らなかった契約不適合についても、売主がリスクを負担しなければなりません。
個人の売主が、民法に定められたルールのまま責任を負うのは荷が重いでしょう。
そこで売主の負担を減らすために、民法のルールとは異なる契約条項を設定することがあります。
契約条項の例は、以下のとおりです。
不動産売却における契約不適合の通知期間は、3か月とされることが多いです。
契約不適合責任は任意で設定できる条項なので、売主と買主の合意があれば変えられます。
売主側のリスクヘッジをするために、契約条項の記載には十分気を配りましょう。
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契約不適合責任では買主の権利が認められています。
ここからは、契約不適合責任では、どのような買主の権利が認められているのかご説明します。
追完請求
追完請求とは契約に適合するように補修、代替物の引き渡し、不足分の引き渡しを求めることです。
たとえば雨漏りが見つかった場合、買主から売主への追完請求をして雨漏りの補修を求めることができます。
どのような方法で追完を求めるかは、買主が自由に決められます。
しかし買主に不相当な負担がかからなければ、売主は買主が決めた方法とは別の方法で追完することも可能です。
たとえば買主が代替物の引き渡しを求めても、売主は補修で追完することができるでしょう。
なお契約書の条項で追完請求を負わない旨を記載していても、契約不適合を知りながら告げていない場合は免責できません。
2つ目の買主の権利は、代金減額請求です。
代金減額請求とは、買主から売主に払った不動産の売買代金を減額するよう求める権利です。
追完請求しても売主が対応しないときに、買主が第二の手段として代金減額請求をおこないます。
補修自体が不可能である場合は、追完請求を飛ばしていきなり代金減額請求することが可能です。
代金減額は不適合の程度に応じて算定することになっています。
ただ具体的な算定方法は定められていないため、注意が必要です。
あらかじめ契約書で減額する代金の算定方法などを定めておくと良いでしょう。
売主が追完請求に応じず代金減額請求では解決しない場合の、次なる買主の権利が催告解除です。
代金減額しても不適合による損害が大きい場合、買主は売主に催告解除を伝えることができます。
催告解除されると、契約はなかったことにされ、売主は売買代金を全額返還しなければなりません。
通常の契約解除とは違い、買主に違約金は発生しないことになっています。
無催告解除は契約目的を達成できない場合などに、催告せず直ちに契約解除することができる買主の権利です。
無催告解除をするには売主が追完不能な状態であるか追完拒絶している状態など条件があります。
裏を返せば、軽微な不適合ぐらいでは無催告解除は認められないでしょう。
買主の権利のなかには、損害賠償も含まれています。
損害賠償が請求されるのは、売主の責めに帰すべき事由がある場合に限られます。
売主に帰責事由がなければ、買主が損害賠償を請求したとしても認められません。
損害賠償の範囲は信頼利益と履行利益が対象になります。
信頼利益とは売買契約が有効と信頼して生じた損害のことで、登記費用などが該当します。
履行利益とは契約履行して得られた利益を喪失した損害です。
売却益や営業利益なども含まれるため、高額な賠償をせまられるリスクがあります。
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不動産売却前にインスペクションをおこなっておけば、契約不適合責任のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
ここからはインスペクションとは何か、その必要性について解説します。
売主には不動産の瑕疵(不具合や欠陥など)を買主に伝える告知義務があります。
瑕疵には物理的瑕疵と心理的瑕疵があり、物理的瑕疵はインスペクションで明らかにできます。
インスペクションとは、不動産の売却にあたって物理的瑕疵がないかチェックする住宅診断のことです。
事前に物理的瑕疵の存在がわかれば細かな部分まで告知でき、売却時のトラブル防止につながるでしょう。
インスペクションは「既存住宅状況調査技術者」の資格を保有する建築士がおこないます。
彼らは既存住宅状況調査技術者講習を修了していて、プロならではの視点と中立的な立場をあわせもっています。
インスペクションは不動産会社に売却査定を依頼する前におこなうのがおすすめです。
売却査定時にインスペクションの結果が出ていれば、より精度の高い査定価格を出すことができます。
インスペクションでは構造の問題や設備・配管の不具合、雨漏り・水漏れの有無などを中心に診断されます。
構造の問題は基礎のひび割れや鉄筋の露出、床や壁の欠損などです。
設備・配管の不具合は給排水管や換気ダクトを中心にチェックされます。
雨漏り・水漏れは、天井や壁などにシミや浮きがないかがチェックポイントです。
2018年に宅地建物取引業法が改正され、不動産会社によるインスペクションの説明が義務化されました。
不動産会社は媒介契約・重要事項説明・売買契約時にインスペクションについて説明しなければなりません。
売主の希望に応じて斡旋もおこなっているため、インスペクションを検討しているのであれば不動産会社にご相談ください。
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売主は、契約不適合責任によるトラブルに十分注意しなければなりません。
しかし契約条項の追加やインスペクションなど対策をしておけば、リスクを軽減することは可能です。
私たち「OIKAZE」は埼玉県川越市・富士見市・ふじみ野市を中心に東武東上線・JR川越線沿線で不動産仲介をおこなっています。
これから不動産を売却しようとしている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。